月が明るい夜で、窓から光が差し込み、淡い光が部屋を満たしていた。
「どうされました」
 物憂げに窓から外を眺めるアラゴルンを不思議に思い、ハルバラドも席を立って彼の正面に立った。
「何か心配事でも?」
 尋ねても、アラゴルンは押し黙ったままだった。やがて、雲が流れて月が隠れると、辺りが暗闇に満ちた。小卓に置かれた灯火だけが、ちろちろ揺らめく光を投げかける。アラゴルンは、やっと外の漆黒の闇からハルバラドの顔に視線を移すと、言った。
「あれは、予兆だな」
 虚をつかれ、ハルバラドは咄嗟に顔を繕いそこなった。
「やはり、そうなんだな」

(「星を仰ぎて」 4話星の盟約 より)


「ぬ」の、ののめさんより、また素晴らしい挿絵を頂きました。
この族長の背中。この背中に彼が背負ってきたもの、そしてこれから更に担おうとしている物の重さと決意が滲み出ていると思いませんか?
そして、族長の後ろにさりげなく置かれた、二本の剣。この重なり合った剣が、二人の絆の物語を象徴していて、それだけで切なく色っぽい。

アラゴルンの細腰ぐっじょぶとか、腐女子発言ももちろん思いましたが(笑)、それよりも、やはりこの美しい情景に見惚れました。
自分の駄文から、こんな情感溢れる絵を創造していただけるとは、書き手冥利につきるのひと言のみです。ののめさん、本当にありがとうございましたm(_ _)m.