気が付くと、俺の頬を涙が流れていた。熱い涙がぽたぽたと、凍て付いていたはずの俺の心が、この美しい人の心に触れて、血の通った涙を流した。
「…どうか、どうかお許しください!」
「おまえが謝ることなど何もない。許しを請うのはわたしだ。やれるものなら、何だっておまえにやりたかった、何も持っていないのに。そうやって、おまえを追い詰めたのはわたしだ」
俺は必死で頭を振った。
「いいえ、いいえ!」
「わたしは、おまえに何もやれぬ。それでも、もしわたしを恋いうるのなら、わたしのために生きてくれぬか」
あなたの為に、生きていいのですか?本当に?こんな俺でも、生きていていいのですか?
アラゴルンが、俺を再び胸に抱きしめた。兄のように、父のように。
「ハルバラド、衰えていくヌメノールの血筋の中に、熱い血を持つおまえこそは、わたしがヴァラールから授かった希望なんだ。頼む、わたしを置いて逝くな…」
そして俺も抱きしめた。細い肩持つこの人を、初めて、欲望でなく慰撫する為に。
(「誓いてし」 10話 より)
ぬ、のサイトマスターの、ののめさんとオフ会でお会いした時に、「ハルアラ感動しました」と云って貰えたもので、天まで舞い上がって「じゃ、じゃぁ、挿絵描いてもらえませんか?!」とずうずうしくお願いしたところ、こんな素晴らしい絵を頂戴しました。
夕焼けを背景に、抱き合う二人。このハルバラドの表情と、しがみつく手の切なさ。
そしてアラゴルンの慈愛に満ちた表情、やさしく抱きしめる腕は、まさに私の王様のイメージ、「世界を抱く人」そのものです。
ののめさーん、本当にありがとうございました、わたしこそ、この絵に感動させていただきました。
ののめさんの素晴らしい水彩画の世界へは、Linkページからどうぞ。