**浜辺にて
「何を見ておられる?」
「海の色が凄いなって…」
「海を見つめるあなたを見ると不安になる」
「どうして?」
「ここへ来た時のように、いつか海へ還ってしまわれるのではないかと…」
「おまえは、おかしな事を考えるな」
そう言って透けるように微笑むあなたは、ますますわたしを落ち着かなくさせる。知らずに、後ろから抱きしめた手に力がこもる。
「今でも信じられない…。あなたがこうしてわたしの腕の中にいるのが」
「…どこへも行かない。ずっとおまえといる」
振り向いてそう告げた想い人の唇に、わたしは堪らず唇を重ねる。
舌を絡め、甘い息をむさぼると次第に想い人の息が早くなっていく。
後ろから抱きしめた手で服の裾から肌をまさぐると、あっ…と小さく腕の中の愛しい人が叫んだ。
「…やめろ、こんな場所で…!」
「ここであなたを抱きたいんだ」
「やめ…誰か来るかもしれないだろう!」
逃れようとする細い肢体を押さえつけ、オデュッセウスは告げた。
「この海に見せつけてやりたい、あなたはわたしのモノだと」
「オデュッセウス…!離せ!あっ……」
---------海よ、この人を運んできた海よ。この人はわたしのモノだ。この唇も、甘い吐息も、わたしの下で切なくわななく身体も。
---------海よ、見るがいい、わたしの愛撫に応えるこの美しい肢体を。わたしの欲望を受け止めて反り返る爪先を。
わたしのモノだ、この人はわたしのモノだ。おまえには返さぬ。
---------海よ、わたしは誓う。おまえがくれたこの人に、わたしはわたしの全てを捧げると。
---------だから海よ、この人を連れていくな、もう二度と。
5000hitsを踏んでくださった宙様のリクでオデュッセウスと王様のイラストでした。
物語が無事終わった後の、ラブラブモードの二人です。
純愛SSのつもりだったのに、やっぱりヨコシマ心が出てしまいました(笑)。
私が王様総受け派なのは、王様は誰にでも自分を与えてしまうけど、決して誰ものにもならないイメージがあるからなんだなと、これを書いていて改めて思いました。
トロイ部屋では豆氏出演記念でオデアラに挑戦中ですが、オデュッセウスと相思相愛になっても、王様は時々遠くを見つめて、オデュッセウスを落ち着かない気分にさせそうだなぁと。